子どもは何人にする?お金の面から試算してみた(1)一人っ子の場合
「子どもは何人欲しいか」は、お金だけで決める話ではない。それでも、お金の心配で選択肢を狭めたくないなら、まず具体的な金額感を知っておくのは無駄にならない。この記事は3部構成のシリーズの1本目として、子どもが1人の場合の教育費を試算する。2人・3人以上のケースは別記事で扱う。

あたま正直に言うと、うちも「教育費、一人あたりいくらかかるのか」を最初は感覚でしか把握していなかった。投資の勉強を仕事でしている手前、こういう数字こそ先に押さえておくべきだったと反省している。
1人あたりの教育費総額:まず「幅」で把握する
教育費の総額は、実は情報源によってかなりの幅がある。
- 三井住友信託銀行
公立約840万円 / 私立約2,450万円
- ライフネット生命
公立約1,095万円 / 私立約2,659万円
- 長野フィナンシャル
公立約769万円 / 私立約2,205万円
集計対象の費目や年度の違いによるとみられるが、単一の正解の数字を探すより「公立で800万〜1,100万円程度、私立で2,200万〜2,700万円程度」というレンジで捉えておく方が実用的だ。
段階別に見ると、公私の差が最も大きいのは小学校で、公立は年間33.6万円程度に対し私立は年間182.8万円程度と、5倍以上の開きがある。「中学受験をして私立小学校に通わせるかどうか」が、1人あたりの総額を最も大きく左右する分岐点になりやすい。
一人っ子ならではの論点:進路選択の自由度とコストが直結する
きょうだいがいる家庭では、上の子の教育方針がある程度、下の子にも波及することが多い(同じ学校に通わせる、お下がりを使う等)。一人っ子の場合はこの制約がなく、進路選択の自由度が高い。裏を返せば、「公立中心でいくか、私立を積極的に選ぶか」という選択が、教育費総額にダイレクトに反映されやすいということでもある。
また、きょうだい割引(制服・学用品のお下がり、一部の私立校のきょうだい在籍者向け学費減免など)が使えないため、頭数の割に単価が下がりにくい面もある。
児童手当という共通の原資
人数に関わらず活用できるのが児童手当だ。2024年10月の改正で所得制限が撤廃され、支給対象は高校生年代まで延長された。第1子・第2子の場合、0歳から受給し続けると総額は約234万円になる。1人っ子であれば、この234万円をそのまま教育費の原資として計画に組み込みやすい。
年齢別に見る、資金準備のマイルストーン


- 0〜2歳:児童手当の受給が始まる。学資保険や新NISAでの積立を検討し始めるタイミング。2027年開始予定のこどもNISAも選択肢に入ってくる
- 就学前(3〜5歳):私立幼稚園か公立かで、早くも数十万円単位の差が出始める
- 小学生:公私の差が最も大きい段階。中学受験をするかどうかで、その後の負担カーブが大きく変わる
- 中高生:高校無償化の動向(2026年度以降、所得制限撤廃の検討が進んでいる)によって負担が変わる可能性がある
- 大学:入学金・初年度授業料・(一人暮らしの場合は)引越し費用が重なり、一時的に100万円以上の支出が発生しうる
この試算をどう使うか
1人っ子の場合、教育費の絶対額は2人・3人のケースより小さく抑えられる一方、進路選択の自由度が高い分、私立を選ぶかどうかの意思決定が総額に直結する。「子どもは1人」という前提で家計を組む場合、公立中心なら800万〜1,100万円程度、私立中心なら2,200万〜2,700万円程度という2つのシナリオを、あらかじめ両方持っておくと計画が立てやすい。
ただし、この数字がそのまま自分の家計に当てはまるとは限らない。2人目・3人目を検討している場合、「単純に人数分を掛け算すればいい」というわけでもない——きょうだいの年齢差ひとつで、負担の山の高さも期間も変わってくるからだ。



数字を並べてみると、案外「今すぐ危機感を持つ額」ではないという印象も持った。ただし、これは1人の場合の話。2人・3人と増えたときにこの「重なり」がどう効いてくるかは、別記事でじっくり検証している。
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