子どもの教育資金、新NISAで準備するつもりが「気づいたら枠が埋まっていた」ということはないだろうか。
2027年1月、子ども名義で非課税運用ができる新制度「こどもNISA(こども支援NISA)」が始まる予定だ。実はこれ、初めての制度ではない——過去に「ジュニアNISA」という似た制度があった。使い勝手の悪さから利用が伸びず、廃止された経緯がある。
- ジュニアNISAが廃止された根本原因
- こどもNISAの制度概要とジュニアNISAとの違い
- 具体的な積立シミュレーション
- 親名義の新NISAとの役割分担の考え方

ジュニアNISAはなぜ廃止されたのか
ジュニアNISAが廃止された最大の理由は、利用実績が乏しかったことだ。他のNISA制度に比べて口座数・利用額ともに伸び悩んだ。
根本原因は払い出し制限にある。ジュニアNISAは、子どもが18歳になるまで原則として引き出せなかった。しかも災害等のやむを得ない事情を除いて途中で払い出すと、過去に非課税で受け取った配当金・売却益にまで遡って課税されるという厳しい規定があった。「非課税制度のはずなのに、途中で崩すと課税される」という分かりにくさが利用をためらわせたとみられる。
2023年末で新規投資は終了し、現在は非課税のまま「継続管理勘定」に移管されている。2024年以降は18歳未満でもいつでも非課税で引き出せるようになった点は、廃止後の改善として押さえておきたい。
こどもNISAの制度概要:2026年に法律として成立済み
あたま「検討中」で止まっている記事も多いですが、2026年のうちに税制改正法として成立し、方針が固まっています
こどもNISAは2025年12月19日発表の令和8年度税制改正大綱で方針が固まり、2026年度税制改正法の成立により2027年1月1日開始が正式に決定した。モネックス証券・大和総研・楽天証券など複数の情報源で数字が一致しており、信頼性は高い。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2027年1月1日 |
| 対象年齢 | 0歳〜17歳(1月1日時点で18歳未満) |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円(1人あたり) |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 投資対象 | つみたて投資枠と同じ対象商品のみ(個別株は対象外) |
| 引き出し | 12歳以降、子ども本人の同意を得たうえで親権者が申出により可能 |
| 18歳時 | 自動的に成人の通常NISA(つみたて投資枠)へ移行 |


ジュニアNISAとの違いを並べてみる
| 項目 | こどもNISA(2027年〜) | ジュニアNISA(廃止) |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 60万円 | 80万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 | 400万円 |
| 非課税期間 | 無期限 | 5年間 |
| 引き出し制限 | 12歳以降、条件付きで可能 | 18歳まで原則不可 |
| 自動移行 | あり(18歳で成人NISAへ) | なし |
年間投資枠だけ見ると旧制度の方が「太い」枠に見えるが、実際に使われていたかで言えばジュニアNISAはほぼ失敗だった。枠の大きさより「使いやすさ」の方が重要だったということを、この制度変更の経緯そのものが物語っている。12歳以降の引き出しが認められるようになった点が、今回の最大の改善だ。
活用シミュレーション
七十七銀行の試算例(年利5%運用を想定)を紹介する。
- 毎月2万円×18年間:元本432万円 → 運用資産額約691万円(運用益約259万円)
- 毎月3万円×12年間:評価額約586万円。中学進学時に470万円を取り崩しても、約116万円で運用継続可能
- 12歳から6年間・毎月3万円:元本216万円 → 運用資産額約250万円(運用益約34万円)
いずれも年利5%という一定の前提を置いた試算であり、将来の運用成果を保証するものではない点は留意しておきたい。
親名義の新NISAとの役割分担
新NISAは子ども名義では利用できない。教育資金を非課税で準備する手段は、これまで「親名義の新NISAで運用し、必要なタイミングで子どものために使う」という形しかなかった。



実はうちも、教育資金は自分と妻のNISA枠でまかなうつもりでいたんです。ところが子どもが生まれたタイミングで確認したら、その枠はもう老後資金の運用に使われていて。結局、教育費専用には回せませんでした
親名義の枠は1つしかないため、教育費・老後資金・住宅資金など複数の目的を同じ枠の中でやりくりすることになる。後から「教育費に回すつもりだった枠が別の目的で埋まっていた」という事態は、実際に起こりうる。
こどもNISAが始まれば、「子ども名義で、子どものために」非課税運用できる専用の受け皿が加わることになる。目的別に枠を分けて考えられる点は、こどもNISAならではのメリットだ。親のNISA枠(生涯非課税枠1,800万円)は老後資金に温存し、こどもNISAを教育資金の主軸にする、という役割分担が検討しやすくなる。
まとめ
- ジュニアNISA廃止の核心は「18歳までの払い出し制限」という使いにくさ
- こどもNISAは12歳以降の条件付き引き出しを認めることで、この弱点を解消した
- 年間60万円・非課税保有限度額600万円・非課税期間無期限という設計で、2026年度税制改正法の成立によりすでに正式決定済み
- 親名義のNISA枠と目的が競合しがちな教育資金は、こどもNISAで専用の受け皿を持てるようになる



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