下の子が生まれてから、しばらく見なかった指しゃぶりが急に増えた。もうやめていたはずなのに、また指をくわえるようになった——これって赤ちゃん返り?
上の子のお世話に加えて授乳やおむつ替えで手一杯な毎日に、指しゃぶりの再開という新しい心配事が重なると、「私の関わり方が足りていないのかな」と自分を責めたくなる。でも、この時期の指しゃぶりの増加・再開は、上の子の側にとってはごく自然な反応であることが多い。
- 指しゃぶりが増える・戻る背景にある「赤ちゃん返り」のメカニズム
- 一旦やめていたのに再開するのは珍しいことではない理由
- 今日からできる、叱らずに不安を減らす関わり方
- 様子見でいい範囲と、少し気にかけたほうがいい範囲の目安
しっぽ「せっかくやめられたのに、また戻っちゃった…」って落ち込まなくて大丈夫。今のお子さんにとっては必要な行動なんです。


なぜ下の子が生まれると指しゃぶりが増える・戻るのか
指しゃぶりは、不安や緊張を感じたときに自分で自分を落ち着かせる「自己鎮静行動」のひとつとされる。眠いとき、退屈なとき、初めての場所で緊張しているときなど、子どもが安心を取り戻そうとする際に自然に出てくる行動だ。
下の子の誕生は、上の子にとって生活環境が一気に変わる出来事になる。パパ・ママの時間と注目の多くが赤ちゃんに向き、抱っこしてもらえる回数や一緒に遊べる時間が減る。それでも「赤ちゃんが生まれてうれしい」という気持ちに嘘はないのだろう。ただ、その気持ちと同じ場所に、「自分は前ほど大事にされていないのでは」という不安が同居していることがある。
この不安をうまく言葉にできない年齢の子どもは、指しゃぶりや赤ちゃん言葉、おねしょ、抱っこのせがみなど、以前できていたことができなくなる「退行現象」——いわゆる赤ちゃん返りの形で表現することが多い。指しゃぶりの増加・再開は、その代表的なサインのひとつというわけだ。
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ポイント:指しゃぶりの再開は「悪い癖が戻った」のではなく、「不安を自分で処理しようとするサイン」。まずそう捉え直すだけで、対応の仕方も変わってくる。
「一旦やめたのに再開した」は珍しいことじゃない
一度やめられた行動が、環境の変化をきっかけに戻ってくるのはよくあることだ。指しゃぶりに限らず、入園・引っ越し・親のケンカ・体調不良など、子どもにとって大きなストレスがかかる場面では同じような退行現象が起きうる。下の子の誕生は、その中でも特に上の子の生活に直接影響する出来事なので、指しゃぶりが戻りやすいタイミングのひとつと言える。
- 指しゃぶりだけでなく、赤ちゃん言葉・抱っこのせがみ・夜泣きが同時に増えることもある
- 症状の強さや期間は子どもによって差が大きく、数週間で落ち着く子もいれば数か月かかる子もいる
- 年齢だけで「もうこの年で指しゃぶりは変」と判断せず、背景にある気持ちに目を向けることが大切とされている
大事なのは、「戻ってしまったこと」自体を問題視しすぎないことだ。頻度や強さが一時的に増えても、上の子が安心を取り戻していけば、多くの場合は自然に落ち着いていく。
今すぐできる対応:叱らず、安心を積み重ねる
指しゃぶりが増えたときにやってしまいがちなのが、「またやってる」「もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ」と叱ったり、無理に指を口から離させたりする対応だ。これは短期的に行動を止められても、根本にある不安は解消されないため、別の形で表れ直したり、かえって指しゃぶりへの執着が強まったりすることがある。
叱る・無理にやめさせるは逆効果になりやすい。「指しゃぶり=不安のサイン」だと捉えると、対応の方向性が見えてくる。
- 上の子だけの時間を意識的に作る:授乳やお世話の合間、10分でも上の子と2人きりで過ごす時間を作ると、「自分もちゃんと見てもらえている」という安心につながる
- スキンシップを増やす:抱っこ・膝の上での読み聞かせ・手をつなぐなど、言葉より先に体で伝わる関わりを増やす
- 「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」を一旦脇に置く:赤ちゃん返りの最中は、年齢相応の振る舞いを求めるより、甘えを受け止めることを優先する
- できたこと・待てたことを言葉で認める:授乳が終わったらすぐ上の子のところへ行く、待ってくれたことに「待っててくれてありがとう」と伝える、といった積み重ねが効く





相談を受けるときも、「指しゃぶりをどうやめさせるか」より先に「今のお子さんが不安を感じていないか」を一緒に見ていくようお伝えすることが多いです。保護者の方を必要以上に心配させたくないので。
様子見でいい範囲と、少し気にかけたほうがいい範囲
一時的な指しゃぶりの増加・再開自体は、多くの場合、赤ちゃん返りが落ち着くにつれて自然に減っていく。目安として、以下のようなケースは焦らず様子を見てよいことが多い。
- 下の子の誕生から数週間〜数か月以内に始まった
- 指しゃぶり以外の生活(食事・睡眠・遊び)には大きな支障が出ていない
- 安心できる時間(休日、寝る前など)に落ち着いて過ごせている
一方で、次のようなサインが重なる場合は、かかりつけの小児科や自治体の育児相談、保育園・幼稚園の先生に一度相談してみると安心につながる。
- 指しゃぶりの頻度・強さが数か月たっても弱まらない、むしろ強まっている
- 食事や睡眠を拒む、極端に元気がないなど、他の様子にも変化が出ている
- 指しゃぶりによる皮膚のただれや、歯並び・かみ合わせへの影響が気になり始めた
年齢が上がってからの指しゃぶりと歯並びの関係については別記事「3歳児の指しゃぶり徹底ガイド」で詳しく扱っているので、赤ちゃん返り以外の観点(年齢別の対策・卒業のタイミング)が気になる場合はあわせて参考にしてほしい。年齢別のケア方法を一通り確認したい場合は「指吸い完全ガイド」もあわせて読むと、原因からリスク、卒業までの流れを一気に把握できる。
よくある質問
まとめ
下の子が生まれてから上の子の指しゃぶりが増える・戻るのは、多くの場合「赤ちゃん返り(退行現象)」による自然な反応であり、珍しいことではない。叱ったり無理にやめさせたりするより、上の子だけの時間・スキンシップ・できたことを認める言葉かけを積み重ねることで、少しずつ落ち着いていくことが多い。頻度や強さが数か月たっても弱まらない、他の様子にも変化が出ているといったサインがあれば、一人で抱え込まず小児科や保育園・幼稚園に相談してほしい。



この記事はライターの配偶者(保育士歴10年)の相談対応の考え方を参考にしつつ、一般的な発達心理学の知見をもとにまとめています。詳しいプロフィールは執筆者情報をご覧ください。
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